認知症の専門医はどこに?(3) [専門医療]
前回のエントリーで、「専門医」という考え方の落とし穴について、述べました。
外科などでは、「あの医師しか治せない」といったカリスマ性に光があたることがありますが、認知症の場合まったく状況が異なります。
大学病院は、認知症の人を専ら診ている医師がいて、検査設備も充実していて、鑑別診断は得意です。しかし、大学病院は、その人の住む地域から遠い場合が多く、地元の介護事業者や行政などとの情報共有はほとんどできません。普段の生活の状況が分からずに、長い期間、大学病院だけを受診することはお勧めできません。
一方で、地域の医師には、経験や考え方にばらつきがあり、適切なところを見つけるのが難しいのが現状ですが、訪問診療などに希望の光があるという話でした。
しかし、「そんなクリニック、探してもないよ」「概況は分かったけれど、現状で何かよい手立てはないのか?」という意見をいただきます。そこで、今回は、医療の現状ではなく、厳しい現実の中でどのような作戦で医療と向き合っていくのかという実践論を紹介したいと思います。以下は、多くの医療関係者や認知症の本人・家族から聞いた話をもとに考えた原則ですが、あくまで個人的意見ですので、その点はあらかじめご容赦ください。
(1)認知症なのか知りたい場合
特に認知症の初期では、近所の精神科クリニックなどに行くと、うつ病と診断されることも少なくありません。病院で違う病気と診断されたが、どうも薬も効いていないようだし、様子がおかしい・・・もしかすると認知症では?という場合には、
一度臨床経験の豊富な「専門医」を受診すること をお勧めします。
認知症の診断には、問診、神経心理検査、画像検査などをもとに行われますが、認知症なのかどうか、どのタイプのものなのか、調べれば必ず分かるというものではありません。しかし、経験の豊富な専門医は、一般の医師に比べて、認知症の方を何十倍、何百倍も診ています。例え、画像検査などではっきり分からなくても、ご本人の話しぶりや生活の様子から、他の病気かどうか、どのタイプの認知症なのか、かなりの程度察しがつくというのは事実だと思います。
ただし、大学病院や精神科病院は、地域のかかりつけ医や体の病気を診る科目の医師と、ほとんどつながりがありません。都内で認知症の方を多く診ていたある専門医も、「認知症の方をなるべく地域の医療機関に帰していきたいが、どこに紹介すればいいか分からない」と仰っていました。鑑別診断の後、どうすればいいのかを、自力で解決しなくてはいけない場合が少ないことを注意する必要があります。
(2)認知症にともなう症状ですでにかなり困っている場合
認知症であることは、医師や家族ともに、あまり疑問の余地がなく、すでに症状で困っているという場合は、地域で医療機関を探すことになります。
この時の大事なのは、
認知症の方に日頃から接している介護事業者から評判のよい医療機関を聞き出すこと
です。介護事業者は、医療の質について評価する立場にはありませんが、介護スタッフからの生活情報に耳を傾けているかどうかなどを必ず評価しています。あの医師は、信頼できる人だと、認知症の方をきちんと見ているというのは、地域の介護スタッフの間では半ば公然の秘密です。
では、どうやって介護事業者の考えを聞くことができるのか?
いきなり事業者に電話をかけても教えてくれませんし、立場上、そういう情報を触れて回る人はあまりいません。
信頼おけるクリニックを知るためのよい方法は、認知症ケアに熱心に取り組む介護事業者が、どの医療機関と提携しているか(施設で言えば、契約している訪問診療医など)、地域での会を開く際にどの医師を呼んでいるのかなどを調べることです。ネットの公開情報などからもかなりのことが分かります。介護事業者との連携の会議に呼ばれている医師は、理解が高い証となります。
認知症に熱心に取り組む介護事業者は、医療機関と違って、自分の目や耳で確かめることが可能です。施設やサービスの見学をすることもできますし、小規模な事業者ならば代表者に直接話を聞いてもいいと思います。ちなみに、一般的には、大手よりは、介護体験を経て、事業所を立ち上げたようなところの方が熱心です。
面倒くさいようですが、不適切な医療機関をたらい回しにされないためには、こうしたステップを踏むことが必要になります。
他にもいろんな場合が想定されますが、今回はひとまず代表的なケース2つを紹介しました。今後もこうした実践論をご紹介したいと思いますが、こうしたテーマに関しては、多様な経験をお持ちの方がいらっしゃることと思いますので、ご意見や体験談などある方はコメントお願いします。
外科などでは、「あの医師しか治せない」といったカリスマ性に光があたることがありますが、認知症の場合まったく状況が異なります。
大学病院は、認知症の人を専ら診ている医師がいて、検査設備も充実していて、鑑別診断は得意です。しかし、大学病院は、その人の住む地域から遠い場合が多く、地元の介護事業者や行政などとの情報共有はほとんどできません。普段の生活の状況が分からずに、長い期間、大学病院だけを受診することはお勧めできません。
一方で、地域の医師には、経験や考え方にばらつきがあり、適切なところを見つけるのが難しいのが現状ですが、訪問診療などに希望の光があるという話でした。
しかし、「そんなクリニック、探してもないよ」「概況は分かったけれど、現状で何かよい手立てはないのか?」という意見をいただきます。そこで、今回は、医療の現状ではなく、厳しい現実の中でどのような作戦で医療と向き合っていくのかという実践論を紹介したいと思います。以下は、多くの医療関係者や認知症の本人・家族から聞いた話をもとに考えた原則ですが、あくまで個人的意見ですので、その点はあらかじめご容赦ください。
(1)認知症なのか知りたい場合
特に認知症の初期では、近所の精神科クリニックなどに行くと、うつ病と診断されることも少なくありません。病院で違う病気と診断されたが、どうも薬も効いていないようだし、様子がおかしい・・・もしかすると認知症では?という場合には、
一度臨床経験の豊富な「専門医」を受診すること をお勧めします。
認知症の診断には、問診、神経心理検査、画像検査などをもとに行われますが、認知症なのかどうか、どのタイプのものなのか、調べれば必ず分かるというものではありません。しかし、経験の豊富な専門医は、一般の医師に比べて、認知症の方を何十倍、何百倍も診ています。例え、画像検査などではっきり分からなくても、ご本人の話しぶりや生活の様子から、他の病気かどうか、どのタイプの認知症なのか、かなりの程度察しがつくというのは事実だと思います。
ただし、大学病院や精神科病院は、地域のかかりつけ医や体の病気を診る科目の医師と、ほとんどつながりがありません。都内で認知症の方を多く診ていたある専門医も、「認知症の方をなるべく地域の医療機関に帰していきたいが、どこに紹介すればいいか分からない」と仰っていました。鑑別診断の後、どうすればいいのかを、自力で解決しなくてはいけない場合が少ないことを注意する必要があります。
(2)認知症にともなう症状ですでにかなり困っている場合
認知症であることは、医師や家族ともに、あまり疑問の余地がなく、すでに症状で困っているという場合は、地域で医療機関を探すことになります。
この時の大事なのは、
認知症の方に日頃から接している介護事業者から評判のよい医療機関を聞き出すこと
です。介護事業者は、医療の質について評価する立場にはありませんが、介護スタッフからの生活情報に耳を傾けているかどうかなどを必ず評価しています。あの医師は、信頼できる人だと、認知症の方をきちんと見ているというのは、地域の介護スタッフの間では半ば公然の秘密です。
では、どうやって介護事業者の考えを聞くことができるのか?
いきなり事業者に電話をかけても教えてくれませんし、立場上、そういう情報を触れて回る人はあまりいません。
信頼おけるクリニックを知るためのよい方法は、認知症ケアに熱心に取り組む介護事業者が、どの医療機関と提携しているか(施設で言えば、契約している訪問診療医など)、地域での会を開く際にどの医師を呼んでいるのかなどを調べることです。ネットの公開情報などからもかなりのことが分かります。介護事業者との連携の会議に呼ばれている医師は、理解が高い証となります。
認知症に熱心に取り組む介護事業者は、医療機関と違って、自分の目や耳で確かめることが可能です。施設やサービスの見学をすることもできますし、小規模な事業者ならば代表者に直接話を聞いてもいいと思います。ちなみに、一般的には、大手よりは、介護体験を経て、事業所を立ち上げたようなところの方が熱心です。
面倒くさいようですが、不適切な医療機関をたらい回しにされないためには、こうしたステップを踏むことが必要になります。
他にもいろんな場合が想定されますが、今回はひとまず代表的なケース2つを紹介しました。今後もこうした実践論をご紹介したいと思いますが、こうしたテーマに関しては、多様な経験をお持ちの方がいらっしゃることと思いますので、ご意見や体験談などある方はコメントお願いします。
2011-01-30 18:00
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