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認知症とともに生きる方の声を募集 [ニュース]

NHKが認知症とともに生きるご本人の声を募集しています。
寄せられた声は、12月に放送される特集番組に使われます。
これからの社会の設計を考えるとても大事な機会になると思います。
本人の方はもちろん、周囲の方も、声を届けるサポートも含め、ぜひお寄せいただければと思います。

(チラシ本文)
認知症になった「あなた自身」の本音を聴かせてください。
どんなことでもかまいません。 あなたの体験談や感じていること、 まわりの人や社会に伝えたい意見や提案などをお寄せください。
たとえば・・・ ○認知症と診断されて、感じたこと
 ○日々の中でつらかったこと、不自由なこと
 ○腹が立ったこと、うれしかったこと
 ○どんな暮らしをしたいのか、これからの希望
 ○医療介護、社会や制度への提案 など

チラシ原稿・表(完成版).jpg認知症ビラ裏(修正).jpg

NHKでは、この数年、認知症に関する事件や事故だけに着目した社会部的な番組がたくさん放送される一方、そもそも認知症の人がどのように感じているのか、どのような暮らしを望んでいるのかに焦点をあてた番組がほとんどなかったので、今回の声の募集を通じて、認知症の人の声をベースにした番組が制作されるとよいなあと思っています。

こうした本人の声の募集は、過去にも国で募集をしたことがあり、各論はともかくとして、総論としては、認知症の人の声をもとに考えるようという流れになってきました。政策にしろ、商品サービスにしろ、ユーザーの声をもとに、ということが言われるようになってきたことは、非常によい変化ではないかと思います。

一方で、声を募集という時に、認知症という障害の性質上、そう簡単に、意見を伝えることができないという問題も以前として残っています。認知症のご本人の中には、全国各地で講演をされる方もいれば、本を出版する方もいますが、一方で、多くの人が、ご自身の思いや困っていることを、周囲の人に整理して伝えることが難しいという事実もあります。選択肢があれば、好きな方を選ぶことはできるが、自由回答では難しい方もいらっしゃいます。集められた声だけをもって、認知症の人の声と呼べるのかなどの指摘もあります。現在、国や有識者の間でも、どのように声を集め、どのように集計し、社会や政策に反映するのかが議論されているところですが、世界中を見渡しても、分かりやすい正解がある訳ではありません。

では、声をあげたり、声を集めることに意味がないのかというと・・・そんなことはないと思います。
現在、認知症の当事者で、社会に発信している人の多くは、オーストラリアの当事者・クリスティーンさんの本や講演に影響を受けて、立ち上がった方が中心です。誰かが声を上げると、他の何十人の当事者の意識が変わり、その中の人が立ち上がりという連鎖が生まれつつあります。
統計的に、認知症の人の声の分布がどうなっているのか、ということよりも、認知症とともに生きる人の声が発され、それを聞いた人たちに気づきが生まれ、変化の連鎖が生まれて行くためには、とても大事なプロセスではないかと思います。

声を募集と言われても、簡単に記入できないという方も少なくない思いますが、ご家族や周囲の人の力も借りながら、ぜひメッセージを番組へ送っていただければと思います。代理で記入いただいたり、声を整理したりするサポートを含めて、声をあげられる環境づくりも、とても大事なことだと思います。
一人でも多くの方がメッセージを送り、新しい社会へのヒントが見つかればと思っています。


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旅のことば 認知症とともによく生きるためのヒント [書籍]



慶應大学・井庭崇研究室と、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブの皆さんで作り上げた冊子が、丸善出版より書籍となって発売されました!

旅のことばと言っても、旅行の本ではありません。
認知症となってからの人生が、ひとつの旅である、そんな思いからつけられたタイトルです。
自分や周りの人が認知症となった時、あるいは、地域や仕事を通事じて認知症の人と出会った時、こうしたらよかったよという体験をお聞きし、40のことばにまとめたものです。

認知症は、事件や事故の報道を通じて、とかくネガティブな言葉が流通しがちで、それが認知症について語りにくい環境を生み、スティグマが助長されるという負のスパイラルを生みやすいのですが、この本には、ニュースにするようなことではないけど、こんなことをしたらよかったという小さな物語から紡いだ生き方のパターンが収録されています。

慶應大学・井庭研究室の「旅のことば」のサイト

認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ

認知症について、小さいけれどポジティブな物語が循環する社会へ向けた大事な一冊になるのではないかと思います。最近注目される認知症カフェでこの本をもとに地域の人たちが対話するというのもいいですし、学校の授業でもよい教材になるのではないかと思います。次フェーズは、この本を使って、社会が変わる仕掛けを考えて行きたいと思いますので、ご関心のある方は、ぜひ一緒に、進めて、広げていきたいと思いますので、DFJIまでご一報いただければと思います。

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認知症フレンドリージャパン・サミット2014  [DFJI]

7月にイベントをやります。

その名も、認知症フレンドリージャパン・サミット!

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最近、新聞やテレビで認知症のことが取り上げられない日はないというくらい頻繁に目にします。が、その取り上げられ方や、世の中で漠然ともたれている問題の定義と対応策の考え方には、私はとても違和感を持っています。

例えば・・・
最近のニュース、「認知症の人の鉄道事故で家族に賠償命令」
そして、「認知症で行方不明1万人」という話題。

”認知症の人が増えて大変なことになっている”
”認知症になると「はいかい」するから危ない”
”介護施設も足りないらしい”
”行政や専門家は何をやっているのだろうか”
”自分は認知症にならないように、予防の体操をしよう”
そんな声が聞こえてきそうです。

事故だけを減らすのであれば、認知症の人を隔離したり、24時間監視下におけば済むかもしれません。鉄道事故死で亡くなった人を支えていた家族に賠償命令を下せば、認知症の人はみんな施設に入り、プロの介護者の下、事故は減るかもしれません。

現在、世の中が、なんとなくのイメージに動かされて、向かっている方向は、「認知症対策社会」ではないかと思います。認知症によって引き起こされる課題のうち、事件や事故になっている部分だけを切り取り、”有識者”や専門家が対策を考える。鉄道事故だけ考えれば、認知症の人が外に出ないようにしたり、線路に入れないようフェンスを強化するとか、そんな対策が見いだされることでしょう。

でも、事故の背景にある、認知症になっても、自分の好きなところに出かけたい、家族や友人のところに会いに行きたい、地域へ出かけて行って誰かの役に立ちたいという気持ちはどうなるのでしょうか?顕在化している事故の対策だけを考えたり、裁判で責任の所在を決めるだけで、果たして本当の問題解決になっているのでしょうか。”有識者”あるいは、医療や法律の専門家は、全体像を掴んでいる真の専門家なのでしょうか?

「認知症対策社会」では、
認知症対策の専門家が養成され、認知症の人が「問題」を起こさないようにする対策を立てます。

「認知症対策社会」では、
企業は、認知症の人を抱える家族や介護スタッフの不安を解消するために、認知症の人を地域から隔離するための場所を作ったり、「はいかい」防止のブザーや監視するためのカメラやGPSを開発したりします。

「認知症対策社会」では、
地域の人は、公的なサービスで届かない部分(インフォーマルサービス)を補うことが期待され、「はいかい」する人を探す模擬訓練に関心のない人までが動員されます。

誰もが認知症になるかもしれないのに・・・こんな社会でよいのでしょうか?

これまで、5回のフューチャーセッションを通じて、300人近い様々な立場の人と、認知症の課題について、対話を重ねてきて見えてきたのは、まったく異なる展望でした。イメージするものがこの言葉だけで、伝わるかどうか分かりませんが、それを「認知症フレンドリー社会」と呼ぶことにします。

「認知症フレンドリー社会」では、
認知症の課題を考えるのは、”専門家”ではなく、認知症の人も参加し、
誰もが認知症になるかもしれないというジブンゴトで、対話し、何が問題なのか、
解決にあたってどのような原則が大事なのかを考えます。

「認知症フレンドリー社会」では、
企業は、社会を構成する一員として、生活を形作る商品やサービス、システムで何ができるのかを考えます。例えば、「はいかい」を止めたり、監視をするのではなく、認知症であっても、安全に自由に移動できる交通システムや、好きな時に、買い物ができる決済のシステムかもしれません。

「認知症フレンドリー社会」では、
地域の人は、行政サービスを補う人ではなく、地域の人々の暮らし方をデザインする主体であり、行政サービスがそれを補う役割となります。地域に住む認知症の人と顔を合わせる関係があり、日々起こる出来事に対し、地域の人が自然と動くような関係が生まれていきます。地域のつながりは、時に発展して小さな会社やNPOが生まれるかもしれません。

誰か偉い人が答えを持っていて、それを分担して実践するだけならば、そんな簡単なことはない訳ですが、認知症の課題は、そんなことでは解決しません。大事なことは、認知症の課題にだけ資源を集中することではなく、認知症の人も(”が”ではなく)暮らしやすい地域や社会を、みんながジブンゴトとしてとらえ、動いていくことではないかと思います。

既に私の周りにも、このことにいち早く気づき、動き出している認知症の当事者、自治体職員、企業、NPOや福祉関係者がいます。
認知症フレンドリージャパン・サミットは、こうした意識を共有できるみなさんで集まり、課題を共有しながら、これからの社会を考えるのに、大切にされるべき原則は何なのか、その原則の下で、自治体・企業・NPOなどのセクターを超えて協力して、どのような変化が起こせるのかを考える場です。今回が記念すべき第一回目ですが、今後毎年開催し、優れた取り組みを発表したり、一人や一組織では難しい課題に一緒にチャレンジする仲間を募る場に発展させていきたいと考えています。
もしかすると、この場で話し合ったことが、日本や世界で、認知症フレンドリーの基準や原則のたたき台になるかもしれませんし、その基準の下、政策が作られたり、商品やサービスが開発されていくことになるかもしれません。

もちろん、今回が一回目ですので、今後どのように発展していくか分かりません。
逆に言えば、今回の参加される方の意識やその後の関わり方によって、この場がどのように発展していくが決まるとも言えます。単に情報収集したいという方や、名刺交換をしたいというような方には、あまり向かない場かと思います。それぞれの最前線で真剣にこれからを考えている方にとってはまたとない機会になると思いますので、ピンと来た方は、ぜひご参加ください。

***********

DFJS 2014
認知症フレンドリージャパン・サミット2014

主催 認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ
   http://www.dementia-friendly-japan.jp/
共催 国際大学GLOCOM社会イノベーションラボ
   富士通研究所
   認知症フレンドシップクラブ 

<7月5日(土)> 
シンポジウム 14:00〜17:30
「認知症の人の声をどのように社会に反映させるのか」
場所 二子玉川ライズ・カタリストBA(定員100名)

認知症の人の声を聞く場は、少しずつ増えているものの、自治体・企業・NPOなどの各セクターが、それを活かして、どのように社会を作って行くのかが問われています。各現場の最前線からの報告をもとに、みなさんで考えます。

<7月6日(日)> 
パラレルセッション 10:00〜16:00
「認知症フレンドリー社会のデザインとは?」
場所 アーツ千代田3331(定員100名)

移動・交通、衣食住、コミュニケーション、デザイン、政策、コミュニティ、ジェンダー、QOL、認知症フレンドリー指標など12のテーマに分かれた分科会を開催します。

詳細は、下記まで
https://www.facebook.com/events/1582819365277009/
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世界が注目する認知症フレンドリーコミュニティーとは [スマートエイジング]

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1月末、認知症フレンドリーコミュニティーとして有名な英国・プリマス市を訪れました。「認知症フレンドリーコミュニティー」という言葉は、まだ日本では一般的な言葉ではないですが、昨年12月にロンドンで開催されたG8認知症サミットでも取り上げられました。認知症の課題を解決するには、薬の開発や医療介護施設の充実だけでなく、認知症になった人が地域で暮らす際に、市民や様々な組織や立場の人々が認知症の課題を理解し、アクションを起こし、認知症の人や家族が暮らしやすい地域を作る必要があるというのが、認知症フレンドリーコミュニティーの取り組みの趣旨です。

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1月31日プリマスで行われた会議 認知症当事者3人のトークに会場300人が聞き入りました

英国では、認知症フレンドリーコミュニティーを作っていくために、それぞれの町でDAA(認知症アクションアライアンス)というネットワークが結成されています。プリマスは、そのDAAの取り組みが最も盛んな地域のひとつで、英国全土のモデルのひとつにもなっています。プリマスで、DAA(PDAA)が組織されたのは、2011年、30の組織が名前を連ねています。加盟している団体は、バス会社、図書館、大学、海軍基地、クリニック、介護施設、学校、非営利団体、弁護士など、市民に認知症のことを知ってもらい、認知症の課題に対して、それぞれユニークな取り組みをしています。
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http://www.dementiaaction.org.uk/local_alliances/1961_plymouth_dementia_action_alliance

認知症フレンドリーな学校
地域の学校(11歳から18歳までの生徒が通う)では、全ての教科に認知症をテーマとして盛り込む取り組みをしています。特定の授業の中で認知症の話を聞くのではなく、例えば、映像制作の授業では、認知症の人をテーマに映像を制作したり、社会科の授業では、地域の介護施設を訪問して、入居者の人とコミュニケーションをとるなど、様々な形で認知症のテーマを知ることができます。
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認知症フレンドリーな図書館
また図書館では、健康をテーマにした図書コーナーを設け、認知症に関する本を積極的に設置したり、認知症を含む様々な病気の当事者や家族が集まる場を提供し、読書会を継続的に開催しています。
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認知症フレンドリーな交通機関
バス会社では、認知症の関する講習を、選ばれた社員が受講し、その社員が会社へ戻り、他の社員に対し、認知症に関する情報提供を行い、認知症の人がバスを利用する際に起こりうる課題について学んでいます。利用者が、降りる停留所が分からないなど、バスの利用に不安がある場合には、事前に運転手に、理解と協力を求める折りたたみ式のカードがあり、「どこの停留所に着いたら、教えて欲しい」など個別のサポートを受けることができるようになっています。
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日本を参考にした取り組みも
認知症に関する講習は、日本の認知症サポーターの制度を参考にしたと言われ、認知症について学んだ認知症チャンピョン(日本の認知症キャラバンメイト)と呼ばれる人が、自分の会社や組織に戻り、他のメンバーに情報を伝え、認知症フレンズ(日本の認知症サポーター)となるという仕組みをとっています。
大学では、大学の教員・職員向けに、認知症の講習を実施する他、認知症をはじめとした介護をする職員向けの、業務時間の調整(フレックス)などを実施しています。

認知症サポーターをはじめ、日本でも、同様の取り組みがあります。日本の多くの地域が、知識の伝達まではできているものの、アクションに結びついていないのに対し、プリマスでは、DAAというアクションを起こすためのプラットフォームを準備し、各組織が主体的な動機を持って、行動を起こしている点に違いがあります。

例えば、図書館で行っている読書会は、地域の図書館がより多くの人に利用してもらうことを目的にした活動の一貫で、認知症の文脈だけでなく、図書館の活用促進という意味を持っています。実際に、読書会を行うようになってから、図書館の会議室の利用者は2年で2倍になりました。

また、歯科衛生士の女性が創設した非営利組織(CIC)は、認知症の人の多くが口腔ケアがされていないという問題意識から作られました。認知症の人の場合、自身で口の中のケアをすることが難しく、家族や介護者が歯を磨かなくてはならないのですが、歯磨きをしている間に指を噛まれてしまったり、歯を磨くことを拒否されてしまうことがあります。この組織では、認知症の人の歯磨きの方法を、家族や介護者向けに教えていますが、口腔ケアの重要性をより広く一般に知ってもらうため、DAAに加盟している他の組織に協力を求め、講座を実施しています。認知症の課題に取り組む上で、地域の他の組織と協力しあいながら、取り組みを広げて行く場にもなっています。
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初めは数人の想いから
PDAAを組織するきっかけを作った人物が、イアンさん。
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航空関係の会社で技術者をした後、プリマス市役所でソーシャルケアの担当として20年働いていました。2009年、首相の主導で始まった英国の認知症国家戦略の策定にも関わっていたイアンさんは、地元プリマスで、認知症フレンドリーコミュニティーを作るための市長を始め、関係機関を奔走し、DAAを結成することになりました。初めは、熱意を持っていたのは、イアンさんを含む4、5人だったそうですが、周囲も、認知症をとりまく課題を理解するうちに、自分の問題としてとらえ、行動をする人が増えて行ったと言います。

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DAAを構成する団体の人にお話を伺った印象としては、「認知症フレンドリーな○○」についてそれぞれが考えて、行動しているということが際立った特徴ではないかと感じました。例えば、認知症フレンドリーな学校、認知症フレンドリーな図書館、認知症フレンドリーな海軍基地・・・DAAを構成する団体の人々は、認知症の課題をそれぞれの組織や職場の文脈に落とし込み、ジブンゴトとしてアクションを起こしています。ひとつ、ひとつの取り組み自体は、日本でも実践されているものもありますが、DAAというプラットフォームを作り、継続的に取り組みが発展していく仕組みが生まれている点が素晴らしいと思いました。

課題と日英での協力の可能性
一方で、課題をあげるとすれば、何を持って「認知症フレンドリー」とするか、定義については、先進地プリマスでも、共通する定義はありませんでした。これは、それぞれの判断に委ねているという理解もできる一方で、地域同士で取り組みを比較した場合に、評価が難しく、わが町は認知症フレンドリーコミュニティーだと標榜すればよいということにもつながる懸念があります。

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今回、訪問したグループには、日本の先進地・富士宮市から市役所の稲垣康次さんも同行されましたが、国内外を問わず、各町の取り組みをお互いに知る中で、「認知症フレンドリー」の共通理解が進むような定義や指標づくりが求められていると思います。
ひとつの試みとして、アルツハイマー病協会では、認知症フレンドリーコミュニティーに関する報告書を出しており、この中で認知症フレンドリーの定義やアウトカムなどについてまとめています。(これについては、また別エントリーで、報告したいと思います。)

来週、東京で報告会もありますので、関心のある方はぜひ!
https://www.facebook.com/events/452410694886439/

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【ご協力のお願い】介護離職に関するインタビュー調査 [介護離職]

放送大学の井出教授と一緒に、介護離職に実態に関する調査を行います。

あまり知られていないですが、現在の介護離職(あるいは介護と仕事の両立)に関する議論や提言は、統計データや簡単なアンケート調査などがもとになっていて、なぜ介護離職に踏み切ったのかプロセスや個別要因の寄与率など、実態に関する詳しい調査がほとんどされていません。
私自身もNHK時代に取材させていただいた方やつながっているNPO・企業の方とお話をさせていただいていますが、今回の実態調査をきっかけに、政策や支援を考えて行く基礎的な資料としていきたいと思いますので、是非お力をお貸しください。

ご協力いただける方、あるいは、該当しそうな方が周囲にいらっしゃる方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。インタビューが可能かなど、個別の事情も配慮させていただきますので、ご協力の可能性の段階でご一報いただければ幸いです。話しにくい内容も含まれると思いますが、プライベートな内容は公開されませんので、ご安心ください。

介護とはたらくことが両立できる社会をつくるために、みなさまの力を貸してください!
よろしくお願いします。


【介護離職に関するインタビュー調査 ご協力のお願い】
 
高齢化が進む中、親などの介護をしながら働く人は全国に240万人。仕事の調整や、介護サービスの選択などに悩む人が増える中、残念ながら、年間10万人が介護を理由に仕事を辞めざるを得ない現状です。
 本調査では、特に介護において負担が大きいとされる認知症の人の介護をテーマに、介護で離職せざるを得なかった方、あるいは、現在、介護と仕事の両立に困難を感じている方を対象に、現状についてのインタビュー調査を実施します。今後、介護と仕事の両立が可能な社会環境に必要な施策や支援の方向性を考える上で、基礎的な資料として役立ていきたいと考えております。
どうぞご協力の程よろしくお願い申し上げます。

  □研究課題名
  「認知症高齢者を介護する家族介護者の離職に関する現状分析とサポートシステムの構築」
  (科学研究費助成事業:平成25〜27年)
  □研究代表者 井出訓(放送大学・教養学部教授)
  □インタビュー実施者 徳田雄人(株式会社スマートエイジング)

  □実施期間 2013年11月〜2014年1月
  □実施時間:1〜2時間
  □実施場所:ご都合のよい場所へ訪問し、実施いたします

<インタビューのご協力をお願いしたい方>
 ● 認知症の方を介護されている方で既に離職された経験のある方
 ● 認知症の方を介護されている方で仕事との両立について困難を感じる方
<インタビュー内容>
 ● 家族構成・労働環境・利用している介護サービス
 ● 介護と仕事の両立に関して感じる困難・必要な支援・施策 など
 ● お話いただいた内容は、秘密を厳守いたします。

【問合せ・連絡先】
 □インタビュー調査に関して;ご協力いただける方は、下記までご連絡ください。
  info@smart-aging.jp(インタビュー調査実施事務局:スマートエイジング)
  090-9101-1878(担当:徳田)
 □調査・研究全般に関して
  〒261-8586 千葉市美浜区若葉2-11放送大学 放送研究等601c 井出訓
  TEL:043−298−4703

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英国 認知症の人の暮らしをよくするデザインコンペ [スマートエイジング]

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先週、参加させていただいてブリティッシュカウンシル主催のイベント「デザインで創る ~安心して認知症と暮らせる社会~」は非常に刺激的な内容でした。

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スピーカーは、デザインカウンシルという団体のカミラ・ブキャナンさん。
デザインカウンシルは、デザインを通じて、社会をよくしていこうというミッションを持った歴史ある団体だそうなのですが・・・・今取り組んでいるプロジェクトが認知症。
http://www.designcouncil.org.uk/dementia

英国の保健省とパートナーシップを組み、認知症の人の暮らしを向上させるアイデアを公募。その中から5つのアイデアに予算をつけ、商品やサービスとして形にしました。

例えば・・・

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認知症の人が食事をとらなくなってしまい栄養不足になる問題を解決するために、食欲を刺激するためのアロマ。食事の前に、食べ物のにおいを流すことで、これから食事の時間であることを認識することにも役立ちます。

それから、

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認知症の人のための盲導犬ならぬ認知症犬。認知症の人の自由と意思を尊重しながら、必要なサポートガイドをする役割を持った犬だそうです。従来の介護現場で登場するアニマルセラピーとは違い、自立をサポートするための犬というコンセプト自体が非常に面白いですね。

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カミラさんは、デザインという概念は、製品をイメージしがちですが、モノに留まらず、サービスや仕組みも含めた概念だと話していました。そう考えると、認知症をとりまく課題は、デザインの時代に入りつつあるのではないかと感じました。

私も少し話題提供をさせていただいたのですが、その中のスライドがこちら。

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歴史的には、認知症の人が、専門家の管理する空間に隔離される時代から、より開かれた空間(地域)で、認知症の人専用ではなく、より一般的な商品やサービス・仕組みの中で生きていく時代へとシフトしていると思います。

国を巻き込み、こうしたアイデアコンペが行われている英国は、日本の一歩先を行っているという印象でした。日本でも、こうした動きを作っていかねばと思う時間でした・・・

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認知症フレンドリーな日本をつくろう [スマートエイジング]

先週の金曜日に認知症フレンドリーな社会について考えるセッションを開催しました。

IT・自動車・生活用品・飲料食品・文具オフィス家具・介護関連など多様な企業と自治体関係者30名ほどが集まりました。

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認知症フレンドリーとは

「認知症フレンドリー(dementia-friendly)」という言葉は、聞き慣れない言葉かもしれませんが、世界で認知症の問題が大きくフォーカスされる中、英語圏で注目されているキーワードです。

認知症フレンドリーなコミュニティ
認知症フレンドリーなデザイン
認知症フレンドリーなビジネス

というような使われ方をしていて、単に「認知症の人にやさしくしましょう」という精神論ではなく、コミュニティや製品・サービスのデザインにおいて、認知症の人が暮らしやすい・使いやすい機能が内包されているかどうかという視点から使われる言葉です。
1990年代に、環境にやさしい(エコフレンドリー)という言葉が一般的に使われるようになり、製品・サービスにおける環境配慮が進んだように、超高齢社会を迎えつつある日本や他の国々で、大きなトレンドを生み出す可能性があるキーワードです。

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現在の日本の文脈では、認知症というテーマは、まだ医療や介護の枠組みで話され、薬がいつできるのか、介護サービスはどんなものがいいのか、福祉予算は足りるのかなどの話が中心です。

しかし、厚労省の研究班の最新の報告では、認知症の人は462万人(2012)、予備軍も含める900万人以上と言われており、特別な空間で、特別なケアをするというアプローチではなく、認知機能に障害がある人々が地域で暮らしていける社会の設計が求められています。

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この日のセッションは、ゲストの3人からお話を伺い、未来のキザシを感じることから始まりました。
■佐藤雅彦さん(認知症当事者として全国を講演)
■稲垣康次さん(認知症の人が安心して暮らせる地域づくりの施策を進める富士宮市役所)
■松浦貴昌さん(ブラストビート代表理事・ギフト経済ラボ)

認知症の人から地域や社会を見た時、そこにはどのようなジブンゴトがあるのか?
今、自分が取り組む仕事や活動にはどのような意味を持つのか?
認知症フレンドリーな社会を考えるのに、どのような問いは何か?

参加された皆さんそれぞれの体験や価値観を共有する中で、
異なる立場や専門の人たちが、一緒になって何ができるのかをプロトタイピングしました。
来年の6月に、認知症フレンドリージャパン・サミットが開催されるという想定で、
皆さんには問題意識を共有するグループをつくっていただき、未来の記者会見をしていただきました。

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認知症フレンドリージャパンへ

2年前から開催してきたフューチャーセッションは、今回で4回目を迎え、企業や自治体・NPOが認知症の課題に取り組むとどのようなチャンスがあり、どのような協力が可能なのかを探ってきました。対話を通じて、様々な企業のみなさんとの本気の問題意識をぶつけ合うこともできました。
いよいよ、今年からは、アクションを形にしていくフェーズへと移行していきます。

これまでの流れをさらに発展させる形で、
今秋に、認知症フレンドリージャパン・イニシアチブを立ち上げ、
来年6月には第1回認知症フレンドリージャパンサミットを開催します。
(今回のセッションの記者会見の想定は、仮想ではなく、実際に開催する予定なのです。)
イニシアチブでは、自治体・企業・NPOなどが参加し、その傘の下、様々なプロジェクトを立ち上げていく予定です。

認知症フレンドリージャパン・イニシアチブの公式ページ
http://www.dementia-friendly-japan.jp/
認知症フレンドリージャパン・イニシアチブのFBページ
https://www.facebook.com/dementia.friendly.japan
(2つとも、内容はこれから、みなさんとつくっていきます!)

詳しい内容は、これから、みなさんと一緒につくっていく予定です。
まずは、その第一弾として、
6月28日(金)・7月16日(火)には、誰と、何を、どんな風にやっていくのか、
アイデアを出すための会を開催予定です。(詳細はまた、ご案内します。)

認知症大国とも言える日本が、問題の多い国ということではなく、新しい地域や未来・社会のシステムを生み出し、世界の国や地域のあり方をリードできるような日がやってくると信じています。
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オランダ訪問(2)日本への示唆 [スマートエイジング]

オランダのホーフヴェイグから学ぶことは3つあります。

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    ホーフヴェイグ内のスーパーマーケット

まず、シンプルにこのような場所を日本にも作ってみてはどうかなと思います。
私の個人的な印象ですが、認知症グループホームなどの中には、ここよりもより地域で「普通に暮らす」ことが実現できているところがあります。そこをこのような施設に戻す必要は全くないと思いますが、デザインや職業意識が固定化されてしまっているタイプの老人ホームなどは、根底にある思想を理解した上でこうしたデザインを取り入れリノベーションするというのは意義のあることではないかと思います。スイスやドイツなどでは実際に類似した場所を作る予定になっているそうですが、イボンヌさんが懸念していたのは、建築だけ真似て、人の教育や働き方が従来のままになってしまわないかということでした。普通の暮らしを実現するというコンセプトが重要になります。
以前取材したことがありますが、日本でも介護施設に、居酒屋コーナーを作ったり、部屋が家だということで廊下に番地表示をつけたりという取り組みがありました。残念ながら、これは非常に表層的な取り組みだと感じています。あくまで大事なのは、全体を貫く思想にあると思います。

次に、ライフスタイルという方法論です。日本では多くの場合、「普通の暮らし」は、その場所を経営する現場責任者や法人の経営者のもつ観念によって規定されています。もちろん、非常に主体性と多様性を重んじる人もいますから、自然と多様なケアの空間を作っている人もいますが、日本人の「普通の暮らし」が1つしかないということはないと思います。もちろん、一人一人に固有の暮らしがあり、固有にプランがあることは言うまでもありませんが、その上で仕組みとしてこうしたライフスタイルの考え方を取り入れていくのは意義のあることではないかと思います。(ホーフヴェイグでも、個別に生活の目標や計画はもちろんあると言っていました。)もし、日本で、地域ごとに様々な介護施設やサービスが様々なスタイルによって提供されていて、自由に選べる状況であれば、必ずしも一つの法人内でこうした多様なライススタイルに対応する必要はないかもしれません。

3つ目は、地域づくりへの示唆です。

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ディズニーランドが夢の国で、キャストの働きやモチーベーションも素晴らしいからと言って、それを浦安市全域に広げたり、日本全体へ広げたりすることは原理的に不可能です。あくまで、1つの会社がマネジメントする空間だから、ディズニーランドがディズニーランドになっているのです。それと同じように、ホーフヴェイグがよいところだからと言って、それを拡張して、認知症の人が(も)安心して暮らせる地域を作ることは無理ではないかと思います。
一方で、私が認知症フレンドシップクラブでは、地域を構成する市民やお店に対し、認知症の人への接し方などの講座を通じて、安心して暮らせる地域を作ろうとしてきました。少しずつ、地域は変わり始めているものの、人やお店を啓発するアプローチだけで、近い将来、認知症の人がどこでも安心して出歩ける地域を作ることも難しいのではないかと思います。町を構成する人々は入れ替わるし、全ての人の意識や行動を変えるのはかなりのチャレンジです。
例えば5年後と考えてみた場合、2つのアプローチの中間、あるいはこれらを組み合わせたような地域づくりができるのではないかと思います。例えば、介護施設と学校とショッピングモールを、それぞれホーフヴェイグのような場所にして、それをつなぐ交通システムを認知症の人も安心して利用できるものにする。あるいはこれらをICTでつなぎ、認知症の人が安全圏から出たらアラートが出る、そういったことが考えられるのではないかと思います。まち全体は、かならずしも認知症の人が安心できない砂漠のような場所であったとしても、安心できるオアシスのような場所とそれをつなぐ道さえあれば、最低限、「普通に暮らす」を体現できるのではないでしょうか。

昨年から国際大学と富士通研究所と進めてきた認知症のプロジェクトも、まもなく領域の探索のフェーズを終え、実際の実証実験のフェーズに入っていける手応えが出てきました。来年から、これまで深めてきた概念をより具体的な仕組みに落としこんでいく作業を始めていきたいと思います。


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オランダ訪問(1) [スマートエイジング]

オランダ・アムステルダムの郊外・Weesp市にある介護施設ホーフヴェイグHogeweyを訪問してきました。
ここは、認知症の人の住む老人ホームですが、居住スペースの他、スーパーやレストラン、美容室、コンサートホールなどがあり、言わば、全体が1つの町のように設計されているユニークな場所です。

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国際大学や富士通研究所と進めてきた認知症のプロジェクトでは、認知症の人も安心して暮らせる社会について構想を深めてきましたが、その一環で今回の訪問が実現しました。場所自体の見学だけでなく、この場所が生まれた背景とプロセス、この地域で関係する他の取り組みなどもお聞きし、また、現地のマネジメント層や長年取り組んできたスタッフへ日本での認知症についての取り組みやまちづくりについてもお話しし、意見交換をすることができました。今後、日本での取り組むにあたっての重要な示唆を得ることができました。

まずは、どんなところだったのかからご紹介します。

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Weesp市は、アムステルダムの中心から電車で15分ほどの地方都市です。
介護施設ホーフヴェイグは、静かな住宅街の中にあります。
玄関を入ると、中庭のようなところに出ます。周りを見回すと、綺麗なレストランやスーパーなどがあり、空間を様々な人が行き交っていて、ショッピングモールの一角にいるような感覚になります。
認知症の人たちが住むは、この中には囲むようにいつか配置されている2階建ての建物です。その建物は、さらに小さな居住スペースに分かれており、全部で23の居住スペース(ここでは家と呼ばれています。)があります。介護スタッフやボランティアなどが付き添っている高齢者もいましたが、高齢者がひとりで散歩したり、買い物をしたりしているのが非常に印象的でした。

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レストランで、長年このプロジェクトに関わってきたイボンヌさんが、この場所が生まれた背景について話してくれました。この介護施設も、かつては他の介護施設と同じく、病院のような構造の建物で、看護師やヘルパーと一目で分かる格好をしたスタッフが働く場所だったそうです。転機となったのは、1992年。イボンヌさんたちスタッフが中心となって、脱病院化を進め、認知症の人がこれまでと同じように普通の暮らしができる場所にしようと話し合いを重ね、スタッフの教育、働き方、施設のデザインなどを段階的に改善してきました。ちょうど、転機となった頃に、イボンヌさんの父親が突然亡くなったそうで、老人ホームで働いているのに、「父親が老人ホームに入らなくてよかった」と思ってしまったことに大きな矛盾を感じてしまったことが大きな原動力となったようです。

「普通に暮らす」というコンセプト自体は、日本でもよく言われることで、とりたてて珍しいことではありません。しかし、「普通に暮らす」を体現する方法が非常にユニークでした。まずは、このコンセプトについて、改革の中心となったイボンヌさんたち、働くスタッフ、この場所で働くボランティア、居住者たちの家族と、徹底的に対話をしたということです。何が普通かというのは、その人の家庭環境や文化、経済的な環境によっても大きく異なります。対話を通じて、普通の暮らし、普通の家、普通の一日の過ごし方は1つではないということを導き出します。
次に、93年からは、心理学者とともに、ライフスタイルについて調査を始めます。入居している人の家族に聞き取り調査を行い、それらがいくつかのライフスタイルに分類できることが分かりました。世界的にライフスタイルを研究するリサーチ会社の研究成果も取り入れ、最終的に7つのライフスタイルを設定。それに基づき、23の居住エリアをデザインし、2002年に現在のホーフヴェイグが完成しました。

7つのライフスタイル

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居住者は、入居する前に、本人か家族によるアンケートを行い、7つのライフスタイルの中でどれに該当するものが多いかを判断し、希望も聞いた上で入居する場所が決定されます。
注意したいのは、これらは、人間を7つに分類すると何もかも上手くいくということではなく、普通の家に住むことに近づけるための手段としてライフスタイルを位置づけているということです。普通の家に住むということは、家庭的な環境のユニットを作る必要があり、そこには、比較的近い価値観の人と過ごすことが大事であるという考えに基づいています。

いくつかの居住エリア(家)を見学させていただきましたが、1つ1つの居住エリアは、日本でいうところの認知症グループホームのユニットに近い感じです。各ユニットには、7〜8人が住んでおり、一人一人の部屋があり(必ずしも一人部屋ではないようですが。)、共有スペースにリビングとキッチンがついています。スタッフは、ユニットにつき1.5人、それに加えて、地域のボランティアの人たちがいます。面白いのは、ライフスタイルに応じて、スタッフの仕事も少しずつ違うという点です。例えば、家庭中心型の家では、食事を作ったり、選択をするのは居住者が中心で、スタッフやボランティアはそのサポートをする役割を担います。一方で、アッパーミドルクラスや都市型の家では、食事の内容を決めたりするのは、居住者ですが、実際の作業をするのは、スタッフやボランティアが中心です。家事1つをとっても、これまでの暮らし方が異なるのです。

こうしたライススタイル別に暮らしていると、他の人と交流する機会がないのではないかと思う方もいるかもしれませんが、そこで出てくるのが町です。家を出ると、他の家が並び、スーパーやレストラン、コンサートホールがあります。ベンチに座って、他の家に住む人と会話することもできるし、その他町には、様々なクラブ活動が用意されていて、音楽を楽しんだり、絵を描いたりすることもできます。移動には、地域のボランティアが付き添う場合もあれば、居住者だけで移動している場合もあります。
認知症ではない私たちの暮らしも、実はこうした構造をもっているのではないかと思います。家や会社という比較的近い価値観を持った集まりにベースを置きながら、趣味や旅行、地域の活動を通じて別のグループとも交流を持つ。こうした「普通の暮らし」の構造が再現されていると言えます。

この町の特徴は、認知症の人でも人で出歩いて大丈夫というところです。スーパーで買い物をして、もしお金を払わないで出てしまったとしても、あとで店員さんがその人の住む家にいるスタッフに連絡をとって、お金をもらうか商品を返すかなどの対応をとってくれます。レストランに、認知症の人が、レストランだとは気づかずに迷い込んできてしまったとしても、レストランの人が気づき、座ってもらい、飲み物を出してくれます。この町は、認知症の人が安心して出歩ける町なのです。

なぜ、自由に歩いても大丈夫なのでしょうか。日本の介護施設で、比較的重度の認知症の人が一人で自由に出てもよいというところはないと思います。
実は、この町は出入口がひとつしかない管理されたエリアだからです。出入り口には、24時間スタッフが常駐しているのです。町ではあるけれど、囲まれた町、あるいは町のように構造をもった1つの施設だからなのです。ですから、認知症の人が、いつでもこのエリアの外に出られる訳ではないので、本当の意味で自由ではない訳ですが、その一方でこのエリアの中では“自由”に移動できるのです。スーパーの店員も、レストランの店員も、介護スタッフではありませんが、ここを運営する財団のスタッフで、認知症に関する専門の研修を受けています。

昔、トゥルーマンショーという映画がありました。主人公の男性が、ある時、突然自分の人生自体がショーであり、家族や友人も役者、町もセットであること知るというものですが、この場所を認知症の人をだまして、普通に暮らせるように見える大きな施設を作っている、という批判もあるようです。確かに、普通に暮らすためには、スーパーやレストランが1つずつあるだけでなく、いつでも遠くへ旅に行くことができたり、いくつかの居酒屋をはしごしたりということも含まれるかもしれません。時には、道に迷ったり、お金を落としたりするのも普通に暮らすということに含まれるかもしれません。囲まれたエリアで町を作っても、それは擬似的なものでしかない、というのはもっともなことです。イボンヌさんも、認知症の人がどこでも出歩ける地域というのが、実際にあるのであれば、そちらの方がよいし、私たちのところは必要ないと言っていました。しかし、まだ世界のどこにもそんな町はありません。ひとつの具体的な町のひな形を作り出しているという意味で非常に意義のある取り組みだと思いました。

日本への示唆については、次のエントリーで書きたいと思います。
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介護離職について、読売新聞に掲載いただきました [介護離職]

7月15日の読売新聞に、介護離職の問題とスマートエイジングを取り上げていただきました。

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(読売新聞2012年7月15日 経済面のコラム「いっぴつ経上」)

介護の問題は、生活面や社会面に掲載されることが多いですが、
経済面に載せていただいたことは、時代が変わりつつあるのを感じます。
行政の仕組みだけに頼らない、新しい「公」を作っていくという問題意識を共有できる方たちと連携をしながら、この問題に向き合っていきたいと思います。
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